私は料理教室に通い始めた。
料理を学ぶことで、新しい自分を
見つけることができた。
かつてタケシが『まずい』と
言って捨てたのは、
カナが作ったお弁当だった。
今では、私とカナで一緒に
お弁当を作る時間が
何よりも大切な時間になった。
『ママと作るお弁当が大好き!
一緒に作ると、
もっと美味しくなるね!』
とカナが笑顔で言ってくれる。
この瞬間こそが、私たちの
幸せなのだと心から
感じられるようになった。
ある日、サオリから連絡があった。
サオリ
「タケシのこと、
聞いたんだけどさ。
今、本当に大変みたい。
仕事も見つからないし、
出会い系アプリでも相手が
見つからなくなっちゃったって。
昔みたいに女性と簡単に
会えなくなったみたいなの。」
私
「効果というか…
でも、正直もうタケシのことは
どうでもいいの。
私たちの人生に
関係ない人だから。」
サオリ
「そっか…
でも、あなた強くなったね。」
私
「うん、過去は過去。
今は前を向いて
生きていくだけよ。」
電話を切った後、
私はカナの寝顔を見に行った。
娘の寝顔を見ていると、
心が落ち着く。
あれから1年が経った頃の
ある朝のこと。
私
「カナ、起きる時間よ
今日は大切な日だって覚えてる?」
カナ
「あっ!そうだった!」
娘が飛び起きる様子を見て、
思わず笑みがこぼれた。
今日は私たちの
「新しい人生記念日」
タケシと別れて
新しい生活を始めてから、
ちょうど1年が経つ日なんだ。
朝食の時間。テーブルには、
カナの大好物の
パンケーキが並んでいる。
カナ
「わぁ!
ママのパンケーキ大好き!」
私
「ふふ、料理教室で習った
レシピなのよ。
カナが喜んでくれるのが
一番嬉しいわ」
朝食を食べながら、この1年間の
ことを思い返していた。
辛いこともあったけど、それ以上に
幸せなことがたくさんあった。