モラハラ

「マズい弁当作るな!!」と言う夫に「私は作ってないけど?」と伝えた結果【13】

 

「カナ、新しい家に

引っ越す準備はできた?」

 

カナ

「うん!楽しみだね、ママ」

 

私たちは、慰謝料を元手に

新しい家を購入した。

 

小さいけれど、

明るくて居心地の良い家だ。

 

引っ越しの日、母も

手伝いに来てくれた。

 

「トウ子、この家素敵ね。

明るくて開放的で」

 

「でしょう?気に入ったの」

 

荷物を運び入れながら、

ふと思い出した。

 

タケシとの生活では、こんな風に

家族で協力し合うことはなかった。

 

彼は常に自分のことで精一杯で、

家族のことを

顧みることはなかったのだ。

 

新しい家での生活が始まり、

私たちは

少しずつ前を向いて歩き始めた。

 

私は在宅ワーカーとしての

仕事を本格的に始めた。

 

最初は慣れないことばかりで

大変だったが、

徐々に仕事にも慣れていった。

ある日、仕事をしていると、

カナが学校から帰ってきた。

 

カナ

「ただいま、ママ」

 

「おかえり、カナ。

今日は学校どうだった?」

 

カナ

「うん、楽しかった!

それでね…」

 

娘が学校での出来事を楽しそうに

話す姿を見ていると、

胸が温かくなった。

 

タケシがいなくなって、むしろ

家族の絆は深まったように感じる。

 

週末には、義両親も

遊びに来てくれるようになった。

 

義母

「トウ子さん、お邪魔します」

 

義父

「久しぶりだね、カナ。

大きくなったな」

 

カナ

「おじいちゃん、

おばあちゃん!」

 

義両親は、タケシのことを

本当に申し訳なく

思っているようだった。

 

でも、私は彼らを

責める気持ちはない。

むしろ、こうして家族として

付き合い続けてくれることに

感謝している。

 

ふと、タケシのことを思い出した。

 

あの日以来、彼からの

連絡は一切ない。

友人のサオリから

聞いた話によると、タケシは

会社を辞め、遠くの町に

引っ越したらしい。