私
「大丈夫よ、カナ。
ママが守ってあげるから」
母
「そうよ。
おばあちゃんもいるからね」
そんな会話をしているうちに、
玄関のドアが開く音がした。
タケシが帰ってきたのだ。
タケシ
「ただいま…って、
なんだこれ?」
居間に入ってきたタケシは、
私たちを見て驚いた様子だった。
タケシ
「トウ子?カナ?
なんでお前らがここに…」
義母
「タケシ、座りなさい。
話があるのよ」
タケシは渋々座ったが、
その表情には
不機嫌さが滲んでいた。
タケシ
「なんだよ、急に。
俺は疲れてるんだ。
早く終わらせてくれよ…
めんどくせぇ」
私は深呼吸をして、話し始めた。
私
「タケシ、あなたが捨てた
お弁当のこと、覚えてる?」
タケシ
「ああw
あのまずいやつかww
それがどうした?ww」
私
「あのお弁当ね、
私が作ったんじゃないの」
タケシ
「は?じゃあ誰が…」
カナ
「私が作ったの、パパ」
タケシの目が丸くなった。
娘の言葉に、
彼は言葉を失ったようだった。
私
「そうよ。あの日、私が
少し体調を崩していたから、
カナが一生懸命作ってくれたの。
あなたのために…ね。」
タケシの顔が青ざめていく。
娘が一生懸命作ったお弁当を
「まずい」と言って捨てたことを、
今さらながら
後悔しているようだった。
タケシ
「ちょっと待て…え?
そ、そんな…カナ、お前が…」
カナ
「うん。パパに
喜んでもらいたくて、
朝早く起きて作ったの。でも…」
カナの目に涙が浮かんでいるのを
見て、私の中の怒りが
再び燃え上がった。
私
「あなたはカナの気持ちを
踏みにじったのよ。
カナの気持ち考えたこと、
一度もなかったんでしょ?」
タケシ
「そ、そんなことない!
俺だって…」
母
「あなたは黙ってなさい。
まだ話は終わっていないわ」
母の厳しい声に、
タケシは口をつぐんだ。