タケシ
「そうだ。もう俺は
我慢の限界なんだよ。お前みたいな
女とは一緒にいられない」
私は呆然としたまま、
その書類を見つめていた。
突然のことで、
頭が真っ白になった。
タケシは怒鳴り散らしながら
家を出て行った。
私は茫然自失のまま、
台所に立ちすくんでいた。
そのとき、カナが
学校に行く準備をして出てきた。
カナ
「ママ、大丈夫?
パパ、怒ってたけど…」
私
「あ、カナ…大丈夫よ。
心配しないで」
カナ
「うん…でも、パパ、お弁当の
こと言ってたよね。昨日のお弁当、
私が作ったのに…」
その言葉で、私は我に返った。
そうだ。昨日のお弁当は、
カナが作ったんだ。
私が少し体調を崩していたので
カナが
「パパのお弁当、私が作る!」
と張り切って作ってくれたんだ。
私
「そうだったね…ごめんね、カナ。
パパに言わなきゃ」
カナ
「ううん、いいの。
パパ怒ってたから…」
私
「大丈夫よ。
ママがちゃんと説明するから」
娘を送り出してから、
私は呆然と座り込んでしまった。
どうしてこんなことに
なったんだろう。
タケシは、家族のことを
全く理解していない。
娘が一生懸命作った弁当を
「まずい」と言って捨てる。
そんな夫と、もう
一緒にいられない。
そう思った瞬間、
不思議と心が軽くなった。
離婚の準備を始めながら、これから
どうやって生きていくか考えた。
専業主婦だった私には、
すぐに仕事を見つけるのは難しい。
娘のためにも、自分のためにも、
頑張らなきゃいけない。
まず、母に相談した。
私
「私…離婚することにしたの」
母
「えっ?どうしたの?急に…」
私
「タケシがね…もう限界なの。
娘のことも考えてくれないし、
お金の使い方も…」
母
「そう…大変だったのね。
でも、大丈夫よ。あなたには
私たちがいるから」