シンは帰って来ない。
さっき、やっとつながった
SNSには
「友達と飲んでる」
の短い一言。
帰れないならせめて、
ゆっくり寝かせて欲しい。
それを言ったら、
義母は嫌な笑いを
見せながら、
庭の方向を指さした。
義母
「布団がもったいない。
庭で寝ればいいんだよ、
出来の悪い嫁はw」
マナミ
「やばぁ!w
うけるーww」
マナミは手を
たたいて喜んだ。
なんという屈辱だろう。
頭に血が上った瞬間、
さっきテントを
片づけた事がひらめいた。
そんなに言うなら、お望み
通り、庭で寝てあげるわ。
トウ子
「空気も
よさそうだし、きっと
気持ちよく寝られますね。
お言葉に甘えて、
今夜は庭でのんびり
させて頂きます!」
私がやけっぱちになったと
思ったのか、マナミは
きゃははと、
はしゃいだ笑い声をたてた。
それから、ふんと
鼻を鳴らした。
マナミ
「あんたの、
その可愛げの無さが
嫌なのよ、私もお母さんも。
目障りなのよ、
さっさと出て行って。
あんたに貸す
布団はないから」
トウ子
「わかりました」
私は立ち上がり、外に出た。
物置にしまい直した
テントセットを
持ち出してくる。
布団は貸せないとの
ことだけど、
テントはだめだと
言われていない。