トウ子
「痛っ!」
義母
「畳を台無しに
する気かい、
このもの知らず!
大学出て、技術なんかの
仕事してるって
自慢してたくせに、
頭が悪いねっ!!」
トウ子
「引きずるしか
ないですよ、こんな重い物」
義母
「そこが頭の使いどころ
ってもんだろう。
たいそうな学歴があっても、
知恵が足りないのかい」
徹底的に無茶ぶりだ。
あまりの言いよう、
腹に据えかねて、私は
何が何でも帰ると決めた。
それこそ、シンを
ひきずってでも帰る!
トウ子
「シン!」
マナミ
「いないよ」
返事は、いつのまに
来ていたのか、さっきまで
夫が寝転んでいたソファに
座っている
義妹のマナミがした。
え!?
あの人、どこ行ったの?
あ然としていたら、
義妹はくすくすと笑った。
マナミ
「とっくにお出かけ。
テレビ飽きたんだって」
トウ子
「はぁ!?!?」
あほか、あいつ!
……ということは。
車が無い!
ものぐさなシンが、妻に
配慮して車を
置いていくなんて、
まずありえないだろう。
帰れない事が決定した。
しかも、いびり趣味が
一人増えた。
義母はシン溺愛の
傾向があるが、
義妹はそうでもない。
何といえばいいだろう。
もっと純粋に、私を
嫌っている様子なのだ。