パシン、と私の頬が鳴った。
義母は顔を真っ赤にして、
私に平手打ちをしたのだ。
トウ子
「い…った…
お、お義母さん!?」
義母
「うるさいんだよ!!
口より手を動かしな!!」
図星だったようだ。
義母はきーきーわめいて、
もう一度手を振り上げた。
トウ子
「やめてください!」
義母
「だったら、
黙って仕事しな!
出来損ないの嫁が!!」
トウ子
「……はい」
この騒ぎでも、シンが
飛んでくる気配はない。
心底がっかりしつつ、
自分の身を守るために、
私は言いつけられた
作業を再開した。
よくわからないテントを
畳むのに、とても苦労した。
電波がよくないので、
スマホ検索もままならない。
もちろんWi-Fiなんて
上等なものは、
義実家にはない。
普段はゲームばっかりな
シンが、寝転んで
テレビ鑑賞しているのも、
そのせいだ。
午後3時を過ぎたころに、
やっとタンスを動かせた。
ここでもひと悶着。
私の腕力では
ひきずるしかないのだが、
それをやれば畳が傷む。
ちょっとひっぱったとき、
運悪く義母に見られて、
思い切り手をたたかれた。