義実家で『庭で寝なさい』と言われたので望みどおりにした結果…すべてを失った二人 【5話】

 

パシン、と私の頬が鳴った。

義母は顔を真っ赤にして、

私に平手打ちをしたのだ。

 

トウ子

「い…った…

お、お義母さん!?」

 

義母

「うるさいんだよ!!

口より手を動かしな!!」

 

図星だったようだ。

義母はきーきーわめいて、

もう一度手を振り上げた。

 

トウ子

「やめてください!」

 

義母

「だったら、

黙って仕事しな!

出来損ないの嫁が!!」

 

トウ子

「……はい」

 

この騒ぎでも、シンが

飛んでくる気配はない。

心底がっかりしつつ、

自分の身を守るために、

私は言いつけられた

作業を再開した。

よくわからないテントを

畳むのに、とても苦労した。

電波がよくないので、

スマホ検索もままならない。

もちろんWi-Fiなんて

上等なものは、

義実家にはない。

普段はゲームばっかりな

シンが、寝転んで

テレビ鑑賞しているのも、

そのせいだ。

午後3時を過ぎたころに、

やっとタンスを動かせた。

ここでもひと悶着。

私の腕力では

ひきずるしかないのだが、

それをやれば畳が傷む。

ちょっとひっぱったとき、

運悪く義母に見られて、

思い切り手をたたかれた。