タンスの中に視線を戻せば、
驚いたというか、
感心したというか。
嫁いびりのためなら、
ここまでやるかと
言いたくなるものまで、
押し込まれていた。
これ、テントじゃないの!?
まるまる一式が、
一番下の引き出しに
入っていた。
どう考えても、
普通は押入れか物置だ。
少なくとも、
和ダンスの引き出しには
押し込まないと思う。
嫁いびり目的に違いない。
さすがに腹が立った。
そこへ、義母が顔を出して
義母
「まだやってたのかい、
ぐずだね!
やる事はこれだけじゃ
ないんだよ。
さっさと片づけな」
また甲高い声で
叱りつけてきた。
カチンときて
トウ子
「テントも、またこちらへ
しまうんですか?
私、テントの
畳み方なんか知らないです。
というか、これお義父さんの
大事な物では?」
言い返した。
持ち主は、どう考えても
義父だ。
義実家唯一の貴重な
常識人で、
アウトドア好きとも
聞いている。
話も面白くて、
私にも気遣いをしてくれる。
単身赴任が
惜しまれる人だった。
トウ子
「いいんですか?
お義父さんの持ち物を
こんな風に」
さらに言いつのった時だ。