義実家で『庭で寝なさい』と言われたので望みどおりにした結果…すべてを失った二人 【3話】

 

交通機関といえば、

本数が少ない

バスくらいだった。

車が必須の地域、

そして肝心の鍵は夫が

握りしめている。

帰れる見込みが立たず、

うんざりして、

私はタンスの

引き出しを開けた。

これでもかと、

分厚い冬服が押し込まれ、

しかもぐちゃぐちゃ。

がっくりした。

このまま元に戻せば

 

義母

「アイロンかける

気遣いもないのかい!

だらしない!

これだから仕事持ってる女は

だめなんだよ」

 

こうくるに違いないのだ。

私は技術系の仕事で、

事務職のシンより

給料が高い。

大学も、夫より有名だった。

義母はそれが

たいそう気に入らない。

初顔合わせが思い出された。

あの時の義母は

満面の笑みで…

 

義母

「いい大学を

出てらっしゃるのねえ。

技術のお仕事!?

今どきは、女性でも実力が

あればそういう道に

進めるのねえ。

お綺麗だし、ご立派な

お仕事もされているし、

うちの息子にはもったないわ」

 

今にして思えば、

気持ち悪いくらいの

持ち上げようだったものだ。

当時の私は、ひたすら

照れて、舞い上がっていた。

実は、人の好い姑モードと、

超意地悪な義母モードを

自在に切り替え、

使いこなす。

それが義母だったのだ。