浮気

カバンを投げつけ壁を殴りながら『さっさと出ていけ!』と言う夫の言う通りにした結果…【11話】

 

ちょっとくらいの

気の迷いなら、

見て見ぬ振りも出来た。

ばれたと気づいて、

恥ずかしくなって、

慌てて謝るなら

許すつもりだった。

でも、DVはだめよ。

これだけは許せない。

ユイトの立場からしても、

許されることじゃない。

 

「やっちゃいけない事を、

やっちゃったね?」

 

ユイト

「それがどうした!

おまえ、うるさいんだよ。

これ以上、俺に

その不愉快な顔を見せるな。

今すぐ出て行け!」

 

「出ていけ?

それを言ったら

おしまいだけど?

…いいの?」

 

ユイト

「うるせえ!

出て行けっつってんだろ!」

 

「本当にいいの?

どうなっても

知らないよ?」

 

念押しすると、

壁を思い切り蹴られた。

あーあ、ひびが

入っちゃったよ。

ユイトは、

おまえもこうなるぞ?

と言いながら、

壁のひびを指さした。

私は、彼との夫婦生活は

ここまでだと覚悟して、

家を出た。

2年間の結婚に至るまで、

20年もの積み重ねが

あったのにね。

こんなにあっけなく

崩壊するんだ。

悲しいような、

寂しいような。

そうでもないような。

不思議な、ふわふわした

感覚を味わいつつ、

私は実家に帰ったのだった。