震える手で、
スマホのカメラアプリを
起動させ、ユイトと
受付嬢のいちゃつく姿を
何枚か激写。
いちおう、
録音アプリも使ってみる。
どのくらい拾っているか
分からないけど、
貴重な証拠だ。
偶然見てしまった、
夫のみっとも
カッコ悪い姿に、
すっかり幻滅し、
がっかりした。
これ以上は何も探る必要も
無いと思い、
私はビルを出た。
ユイトを信じていただけに
このダメージは大きい。
自分の勤め先に戻って、
午後の仕事を終わらせると、
残業を断って自宅へ帰った。
エミには、メールで証拠の
音声や画像を見せ、
残念な報告をした。
彼女からは、
何があっても
私の味方だという
短いメッセージが
送られてきた。
ユイトは、浮気を
しているとは思えない時間に
帰って来る。
さっきの会話からしても、
いまは口説いている最中で、
まだ本格的なところまで
至っていないのだと
推測できる。
それだけに、情けない。
もし女性にその気が無くて、
適当にあしらわれている
だけだとしたら、
人目が気にならないほど
熱をあげているユイトは、
見ていられない。
早く目を覚まして欲しい。
そう思うあまりに、
夫が帰宅したとたん、
私はプリントアウトした
写真をつきつけてしまった。