浮気

カバンを投げつけ壁を殴りながら『さっさと出ていけ!』と言う夫の言う通りにした結果…【5話】

 

エミは、私のそういう

みっともないところも、

ユイトが私の好意を

良い事に、妻をとても

雑に扱っているところも、

全部お見通しに違いない。

 

エミ

「このままじゃ、

キヌ子は奥さん

じゃなくて、

お母さんに

なっちゃうよ?」

 

「でも、どうしたら

いいのか、

よくわからないの。

何となく、

浮ついてるなぁとは

思うんだけど」
 

エミ

「この際、

はっきりさせたら?」

 

過激な事を言うものだ。

私は驚き、

そこまでしなくても、

と思った。

ユイトが軽く浮気をしたり、

不倫まで行かなくても

他の女性に気を取られたり、

そう言う事は

あり得ると考えている。

でも、しつこく追及して、

彼を怒らせてしまったらと

思うと、踏み出せない。

放っておけば、

そのうち女性に飽きて、

家庭に戻ってきて

くれるかも。

淡い期待がある。

 

「無理にはっきり

させなくても、

ユイトはきっ と……」

 

エミ

「きっと?ユイトを、

ほんとに信じられる?」

 

幼馴染ならではの、

遠慮が無い、

厳しい問いかけに、

私は言葉を

詰まらせてしまった。

何も言えなくなってしまい、

コーヒーカップを

握り締める。