浮気

カバンを投げつけ壁を殴りながら『さっさと出ていけ!』と言う夫の言う通りにした結果…【2話】

 

あくまでも

今のところだけども、

心ここにあらずという、

いかにも落ち着きが無い

雰囲気以外には、

これといった証拠は

残していない。

スマホを肌身離さず

持ち歩くとか、

ロックかけたり

暗証番号を

頻繁に変えたり、

こそこそ誰かと連絡を

とっているとか。

そんな事は無い。

無いけれど、

以前だったら、

私のささいな変化に

気づいたりしたし、

買い物にも

進んでついてきてくれて、

重い荷物を

持ってくれたりもした。

今までは彼の長所だと

信じていた、

愛情表現を

億劫がらないところが。

でも、ここ1ヶ月ほどは…

かなりはっきり、

手を抜いていると

感じらる。

 

「ユイト、

お風呂沸かして

おいてくれる?」

 

ユイト

「えー?

キヌ子がやりなよ

そのくらい。

タイマーかけて

お湯出すだけじゃん」

 

昨日の夜も、

こんなことを言われた。

家事の拒否は、

本当にここ

1ヶ月間くらいの話だ。

以前も時々あったと言えば

あったけれど、

こんなあからさまな

拒否じゃなかった。

 

 

ユイト

「ごめん、

いま手が離せないんだ。

少し遅れるけど

大丈夫そう?」

 

ちゃんと対案を

出してくれたし、

やる気も

見せてくれていたのだ。