浮気

娘の家庭教師と夫の秘密…【16】

 

え?という表情で

クルミを見つめる夫。

 

クルミは憎悪の籠った目で

夫を睨みつけ、静かに1つ頷いた。

 

クルミ

「ママの言うとおりだよ。

こうやって目に物見せてやろうって

言いだしたのも私」

 

「う、嘘だろう?」

 

クルミ

「嘘なんかじゃない!」

 

必死に涙を堪えようとするクルミ。

 

「あなた、この数カ月、

クルミがどんな思いを抱えてきたか

なんて考えたこともないでしょ?

苦しんで悩んでいた

娘のすぐそばで、あなたは

よその女に現を抜かしてたの。

そんな父親、娘に必要かしら?」

 

妻と娘に矢継ぎ早に責められ、

呆然とするしかない夫。

 

それでも一縷の望みに

書けたらしい。

玉砕したけど。

 

「で、でも!クルミには

パパが必要だよな?

パパなしじゃ

大学の学費は払えないぞ?」

 

クルミ

「パパ!?汚らわしい!

私にパパなんてもういない!

浮気が好きなキモいオッサンは

父親でもなんでもねえ!

お前なんて

私の視界から消えちまえ!

今すぐ!!」

 

普段は女の子らしい語尾で

話すクルミ。

 

それがこんな乱暴な物言いを

するなんて、余程のことだ。

 

私も驚いたが、それ以上に

夫にはグッサリと刺さったようだ。