クルミとともにやって来たのは
セイラの上司と夫の上司だ。
セイラの上司は派遣されている
家庭教師が生徒の親とねんごろな
関係になったと伝えると
平謝りで血相を変えて飛んで来た。
夫の上司は私も会社勤めを
していた頃に面識があり、
結婚式で
仲人も引き受けてくださった方。
要は2人が全く頭のあがらない人を
チョイスして呼び出したのだ。
これが私が納戸に
隠れている際に手配した準備。
心理的なダメージは十分に
与えられたと、私は表情には
出さずにほくそ笑んだ。
セイラの上司は私と
クルミに対して、
土下座せんばかりに頭を下げた。
セイラの上司
「この度は
わが社の者がとんでもないことを
仕出かしまして、
お詫びのしようもございません!
本当に申し訳ございませんでした」
私
「いえ、上司さんが
悪いわけではありませんし」
セイラの上司
「いえ、派遣する
家庭教師の監督ならびに指導の
不行き届きは上司である
私の責任でもあります。
本当に申し訳ありません」
そしてセイラに向き直り、
セイラの上司
「君には失望した。
解雇を覚悟してくれ」
セイラ
「なぜです!?これって
プライベートなことですよね?
なんで会社が口を
挟んでくるんですか!?
私、実績だってちゃんと
残してるじゃないですか!」
セイラの上司
「黙れ!家庭教師が
教え子の親と浮気をして、
その子の家庭を壊してどうする!?
職業倫理にもとるだろうが!!」
物凄い剣幕の上司にセイラは
黙り込むしかなかった。
一方、夫も
上司に懇々と詰められている。