最初に色目を使ったのは
セイラの方だった。
夫は私に専業主婦をさせても
子供を大学に
進学させることができるくらいには
稼いでいたからね。
私
「呆れた…!娘を口実に
浮気相手を引き入れて、
それで娘の気持ちを傷つけて!
鬼畜の所業も
いいところじゃないの!」
夫
「クルミを傷つけるつもりは
本当になかったんだ!
ただ魔がさしたというか。
ごめん…」
私
「浮気なんてバレたら
私もクルミも
傷つくに決まってるでしょ!?
魔が差した、傷つけるつもりは
なかったなんて、
信じられるわけないじゃない!」
夫
「うぅ…。本当に悪かった」
涙目の夫はそれなりに
罪悪感があるようだった。
一方、セイラの方は
そんな気配は微塵も見せていない。
開き直ったのか、どこか
余裕の表情で一服まで始める始末。
ていうか、うちには
誰も喫煙者はいないんだから
勝手にタバコなんて吸うな!
セイラ
「こっちが下手に出れば
調子こいちゃって。
奥さん、被害者面してますけど、
浮気をされる方が
悪いって考えもあるんですよ~」
フーッと煙を吐き出した
セイラは続けた。