浮気

娘の家庭教師と夫の秘密…【9】

 

「さあ、行くわよ」

心の中でつぶやき、

勢いよくドアを開ける。

 

「呼ばれず飛び出て

ジャジャジャジャーン!」

 

今思えばどういうセンスなんだと

思うようなセリフを吐きながら、

寝室のドアをバーン!とオープン。

 

私の声が部屋中に響き渡る。

その瞬間、時間が

止まったかのように感じた。

 

「うわあああああ!?」

 

セイラ

「きゃああああああ!?」

 

マッパで重なり合いながら

悲鳴をあげる夫とセイラ。

 

その光景は、まるで滑稽な

喜劇のワンシーンのようだった。

でも、私の心には怒りと

悲しみが渦巻いている。

 

夫はそのままベッドから

飛び降りて直立不動。

 

釣られたのかセイラも直立不動。

 

二人とも、まるで子供が

悪いことをして見つかった時の

ような表情をしている。

 

ちょ、お前ら、隠すべきものは

隠しなさいってw 

 

心の中でツッコミを入れつつも、

表情は厳しく保つ。

 

「ち、違うんだ、これは!」

 

セイラ

「そうです、誤解です!」

 

二人の慌てふためいた様子を見て、

怒りが込み上げてくる。

何年も騙され続けてきたことへの

憤りが、胸の奥で燃え上がる。

 

「マッパの男女が部屋に

籠って体を重ね合ってる…

どこをどう誤解するわけ?

馬鹿じゃないの?」

 

声が少し震えている。

怒りのせいか、

それとも悲しみのせいか、

自分でもわからない。