慌てて話を聞いてみると、
娘が朝礼で眩暈を
起こして倒れたという。
1人で帰宅させるのも心配なので、
迎えに来てほしいという話だった。
こういう時に専業主婦は
すぐに動けて良い。
私はすぐさま娘の学校へ向かった。
保健室に入ると
青白い顔をした娘が、
ベッドで横になっていた。
やはり顔色が悪いので、
保健室の先生も担任も、
私も、大人たちの意見は
全会一致で帰宅だった。
私はすぐに娘を連れ帰り、
部屋で寝かせた。
夕食の支度をしていると、
娘が部屋から
降りてキッチンに来た。
クルミ
「ママ、あのね」
そう言うと、娘の目から
大粒の涙が溢れ出す。
私
「どうしたの?」
クルミ
「ママ。私、
家庭教師をやめたいの」
突然のことに驚いたけれど、
私は娘の話を聞くことに専念した。
嗚咽混じりで話す内容は、
とても衝撃的だった。
端的に言うと、夫と
家庭教師のセイラが
男女の仲だったという話だ。
最初におかしいと思ったのは、
セイラが教えるようになってから
夫が授業中にも関わらず
娘の部屋にちょくちょく様子を
見に来るように
なったことだったそうだ。
これまで碌に娘の部屋に
入ったことがなかった夫が、
夫
「クルミ~、
ちゃんと勉強してるか~?」
と取ってつけたような
理由をつけて部屋に入って来る。