浮気

娘の家庭教師と夫の秘密…【5】

 

慌てて話を聞いてみると、

娘が朝礼で眩暈を

起こして倒れたという。

 

1人で帰宅させるのも心配なので、

迎えに来てほしいという話だった。

 

こういう時に専業主婦は

すぐに動けて良い。

私はすぐさま娘の学校へ向かった。

 

保健室に入ると

青白い顔をした娘が、

ベッドで横になっていた。

 

やはり顔色が悪いので、

保健室の先生も担任も、

私も、大人たちの意見は

全会一致で帰宅だった。

 

私はすぐに娘を連れ帰り、

部屋で寝かせた。

 

夕食の支度をしていると、

娘が部屋から

降りてキッチンに来た。

 

クルミ

「ママ、あのね」

 

そう言うと、娘の目から

大粒の涙が溢れ出す。

 

「どうしたの?」

 

クルミ

「ママ。私、

家庭教師をやめたいの」

 

突然のことに驚いたけれど、

私は娘の話を聞くことに専念した。

 

嗚咽混じりで話す内容は、

とても衝撃的だった。

 

端的に言うと、夫と

家庭教師のセイラが

男女の仲だったという話だ。

 

最初におかしいと思ったのは、

セイラが教えるようになってから

夫が授業中にも関わらず

娘の部屋にちょくちょく様子を

見に来るように

なったことだったそうだ。

 

これまで碌に娘の部屋に

入ったことがなかった夫が、

 

「クルミ~、

ちゃんと勉強してるか~?」

 

と取ってつけたような

理由をつけて部屋に入って来る。