一人っ子なので、年上のお姉さんが
できたようで嬉しかったみたい。
ただ、私はその家庭教師・セイラの
言動が少し鼻についた。
娘に対しては親切で
優しい様子だったのだけど、
私に対する態度が
生徒の保護者に対するものとは
思えなかったから。
セイラ
「あーあ!こんな状態に
なるまで子供を放置するなんて。
こんな無責任な親だと
子供が可哀想」
けれど、セイラは私の顔を
チラリと一瞥すると
すぐに娘の部屋に行って、
指導に入ってしまった。
私とセイラの相性よりも
大事なのは、
クルミとセイラの相性だ。
そう思って私はグッと
堪えることにした。
正直、ギョッとした。
事実、セイラが娘の指導にあたり、
3年生最初の中間テストでは
娘は再び
学年トップ10内に返り咲いた。
娘自身はホッとしたようだったし、
この結果に珍しく夫も
喜んで娘を褒めていた。
初めて受けさせた模擬試験では、
第1志望の大学の判定は「合格圏」
「確実圏」ではなかったものの、
このまましっかりと勉強を
続けていれば合格が手に届く。