空港のラウンジと言えば
実に様々な人たちが
訪れるんだけど、
その中でも最も多いのは
ビジネスマンだ。
飛行機までの待ち時間に
パソコンを開いて
仕事をしていたり、
英語を使ってかっこよく
商談をしていたり
する人もいる。
当時の私はそういう
エリートっぽい
ビジネスマンのことを
憧れの眼差しで見ていた。
そんなある日のこと
ちょっと変わった
お客さんが来た。
背が高くてスーツを
バシッと着こなして
どこからどう見ても
エリートサラリーマンと
いう感じなんだけど、
なんと言うかどことなく
抜けているような
感じがしたのだ。
私が勤めていたお店は
入り口にちょっとした
段差があるんだけど
その人は、いきなりそれに
つまずいて
盛大にこけていた。
空港のラウンジって
基本的には
いつも静かなので、
そのお客さんが転んだ音に
他の人たちもびっくりして
目を向けていた。
恥ずかしそうに照れ笑いを
しながら席に座る
その姿はとても
可愛らしく見えた。
エリートビジネスマン
特有の近寄りがたい
雰囲気は全くなく、
とても素朴な
感じに見えた。