私「知り合いなの?」
ヒトシは
少し照れくさそうに答えた。
ヒトシ
「ああ、
大学時代の後輩なんだ。
ラグビー部で
一緒だった仲間で、
恥を忍んで
今回お願いしたんだよ」
ハイエースは静かに山を下り、
街へと向かっていく。
これから3泊4日、夫とミキは
過ちと向き合うことになる。
そして私も、この時間を使って
自分の人生について
深く考えることにした。
4日後、山寺での修行を
終えた夫から電話が
掛かってきた。
彼の声には、どこか
取り繕うような
軽さが感じられた。
夫
「キヌ子、
何か誤解があったみたいだね。
俺たち、たった1回しか関係を
持ってないんだ。
ミキがヒトシから女として
見られていないみたいだって
悩んでて、自信を
つけさせるためだったんだ。
いわばビジネス関係だ。
そういう割り切った
間柄なんだよ?」
夫は、ヒトシにバレて
正座させられたことを
私が知らないと
思っているしね。
私は感情を抑えた
冷静な声で返した。
私
「ヘラヘラして言うこと?」
夫
「え!?」
夫の声が急に上ずる。
私は淡々と続けた。
私
「監視アプリを
入れてるから、あんたたちが
1度や2度の関係じゃないことも
バレバレだよ?
それに、ヒトシにバレて
土下座させられた時、
実は私廊下で見てたんだよね。
だから、離婚1択なんだよ」
夫
「え?なに?
ね、ちょっと待って!!
え?離婚?ちょっと話を…」
私はイサムが
喋り終わるのを待たず、
通話を切った。
スマートフォンを置きながら、
深いため息が漏れる。