その声に、夫とミキは
完全に硬直した。
そこへ、事前に
手配していた
マッチョ軍団4人が
雪崩れ込んできた。
彼らは無言で、あっという間に
ブランケットとシーツで
2人を簀巻きのようにして
担ぎ上げた。
夫
「な、何するんだ!
おい!や、やめろ!」
ミキ
「やだやだ!
助けて!誰か!」
2人の叫び声も空しく、
マッチョ軍団は彼らを
家の入口に用意しておいた
ハイエースに放り込んだ。
私はヒトシの隣の
助手席に座り、
山奥へと向かう道を指示した。
車内は緊張感に包まれていた。
後部座席から聞こえる
夫とミキの呻き声。
しかし、誰も言葉を
発することはなかった。
約1時間後、ハイエースが
到着したのは
静かな山寺だった。
この山寺は、夫の実家である。
住職は夫の父で、後継ぎは
長男である義兄と
既に決まっている場所だ。
マッチョたちは簀巻きにした
夫とミキを本堂にエッサ、
ホイサと運び込んだ。
薄暗い本堂の中央、
住職である義父の前に
ゴロンと転がされる2人。
義父
「イサム…お前…」
低く重い声が響く。
義父の声を聞いた途端、
夫が小さく
震えるのが分かった。