ヒトシからスマートフォンの
監視アプリについて
詳しく教えてもらった。
私は機会を見つけて
アプリを仕込んだ。
ヒトシはミキを監視する気力を
完全に失っていた。
このアプリを利用して、
私は夫の日常を細かく
知ることになった。
最初は単純な
好奇心だったものが、次第に
強迫観念に変わっていった。
夫がスマートフォンを
手に取るたびに通知が来る。
誰とメッセージを
やり取りしているのか、
どんなウェブサイトを
見ているのか、
どこにいるのか。
これらの情報が
私のスマートフォンに次々と
表示されるようになった。
特にミキとの
やり取りを見つけると、
胸が締め付けられるような
痛みを感じた。
二人の会話の中にある親密さや
秘密の約束事。
何気ない絵文字一つで、
2人の関係の深さを
思い知らされ、
めまいがするほどだった。
夜中に突然の通知音で目を
覚まし、寝ぼけ眼で
スマートフォンを
確認する日々。
常に最新の情報を追いかけ、
監視し続けることで、
私の精神は
少しずつ蝕まれていった。
そして、この経験を通じて、
ヒトシの気持ちが
痛いほどよくわかった。
彼がもうミキを監視する気力を
完全に失っていた理由が、
身に染みて理解できた。