浮気

帰宅すると夫と夫の親友の奥さんが…とある場所へ連行した結果【6話】

 

リビングに足を踏み入れた瞬間

あの日の光景が鮮明に蘇った。

 

全裸で正座する夫とミキの姿。

ヒトシの怒りに満ちた表情。

ダメ…吐きそう…

 

胃の中がぐるぐると回り、

喉元まで胃液が上がってくる。

 

「ごめん、ちょっと…」

 

私は慌ててトイレに

駆け込んだ。

便器に顔を近づけ、

何度か空えずきをする。

 

「キヌ子!大丈夫か?」

 

ドアの向こうから

夫の声がする。

 

心配そうな声音に、

かえって苛立ちを覚える。

 

「もしかして…」

 

ドアを開けると、

夫の顔が輝いていた。

 

期待に満ちた目で

私を見つめている。

 

「妊娠したのか!?」

 

その言葉に、

私の中で何かが切れた。

 

冗談じゃない。

こんな状況で、

よくそんなこと…

 

夫の顔が、

ナメクジのように見えてくる。

かつては大好きだった人。

 

でも今は、吐き気を

催すだけの存在。

 

「違う。車酔い」

 

精一杯の冷たさを

込めて言い放つ。

 

夫の表情が曇るのを見て、

少しだけ満足感を覚えた。