浮気

帰宅すると夫と夫の親友の奥さんが…とある場所へ連行した結果【5話】

 

「ううん、気にしないで。

兄さんが良くなるのが

一番だから」

 

兄の言葉に、苦笑いを

浮かべるのが精一杯だった。

 

その後の4日間、私の心は常に

複雑な思いで満ちていた。

 

兄の世話をしながらも、

頭の中では夫の不義と、

その後の完璧すぎる対応が

交錯し続けた。

 

そして4日後、

夫が迎えに来た。

 

「お疲れさま。義兄さん、

もう大丈夫そう?」

 

「ああ、随分良くなったよ。

キヌ子には

本当に世話になった」

 

「兄さん、無理しないでね。

また来るから」

 

別れの言葉を交わし、

夫と共に家路につく。

 

車の中で、夫は

何事もなかったかのように

日常会話を続けた。

 

私は相槌を打ちながら、

これから

どう向き合えばいいのか、

その答えを必死に探していた。

 

車の中で、夫との会話に

相槌を打ちながら、

私の心は重く沈んでいた。

 

本音を言えば、

兄の元にもっと長く

身を寄せていたかった。

 

夫と二人きりで過ごす日常に

戻るのが、恐ろしくて

たまらなかった。

 

自宅に到着し、玄関を開ける。

 

懐かしいはずの

我が家の匂いが、今は妙に

居心地悪く感じられる。