私は靴を脱ぎ、静かに
リビングに向かった。
ドアノブに手をかけた瞬間、
普段とは
違う空気が漂っていた。
ドアを開ける。
そこで目にした光景は…。
リビングへの扉に
手をかけた瞬間私は躊躇した。
ガラス窓越しに
中の様子が見える。
そっと顔を近づけ、覗き込む。
目に飛び込んできたのは、
信じられない光景だった。
(え?変態!?)
一瞬そう思ったが、
すぐに正座している人物が
夫、イサムだと気づいた。
変態に見えたのは、
夫が全裸だったからだ。
視線を移すと、
ソファには
友人ヒトシが座っていた。
その表情は怒りに満ちている。
何かが起きたのは
明らかだった。
さらに目を凝らすと、
イサムの隣にも女性が
正座しているのが見えた。
この女性も全裸だ。
夫の陰に隠れて顔は
よく見えないが、髪型からして
ヒトシの妻、ミキに違いない。
状況を理解しようと
必死に頭を巡らせる。
どうやら、イサムとミキの間で
何かが起きていたところへ、
ヒトシが乗り込んできたのでは
ないか…そう考えると、
全てが繋がる。
胸が締め付けられる感覚に
襲われる。
吐き気が込み上げてくる。
扉を開けるべきか、
それとも立ち去るべきか。
決断を迫られる中、
私は凍りついたように
動けずにいた。
(こんなの…嘘でしょ…)
私は静かに、そっと
リビングの前から離れた。
足音を立てないよう
細心の注意を払いながら、
玄関へと向かう。