浮気

帰宅すると夫と夫の親友の奥さんが…とある場所へ連行した結果【1話】

 

私はキヌ子。

28歳のパート主婦。

 

高校の同級生だったイサムと

結婚して2年目を迎えていた。

子供はまだいない。

 

あの日は、まさに

波乱の幕開けだった。

 

2歳年上の兄が不慮の事故に

遭ったと連絡が入ったのだ。

 

「え?兄さんが病院?」

 

電話の向こうで母方の叔母が

慌ただしく説明する。

 

叔母

「キヌ子ちゃん、急いで

来てくれる?兄さんが階段で

滑って…頭を強く打って…」

 

私は胸が締め付けられる思いで

病院に駆けつけた。

 

幸い、兄は数時間で

意識を取り戻し、翌日には

退院できるまでに回復した。

 

だが、安堵したのも束の間。

兄の右腕、つまり利き腕が

骨折していたのだ。

 

両親は既に他界しており、

兄は独身で世話を

してくれる人がいない。

兄弟は私ただ一人。

兄の世話は

私の役目となった。

 

退院日、兄の家に着くと、

現実の重みを痛感した。

 

「兄さん、大丈夫?

お茶、入れようか?」

 

「ああ、悪いな。

左手じゃうまく持てなくて…」

 

兄は申し訳なさそうに左手で

カップを掴もうとするが、

ぎこちない。

 

「しばらく私が

泊まり込んで世話するわ。

イサムには電話しておくね」

 

「ごめんな。迷惑かけて…」

 

「何言ってんの(笑)

気にしないでよ。

家族なんだから」

 

急遽決まった泊まり込み介護。

 

兄の家から自宅へ

必要な物を取りに戻った。

疲労で体が重い。

 

ドアを開けた瞬間、違和感が。

 

薄暗い玄関に、見慣れない靴が

何足も雑然と並んでいる。

イサムの友達だろうか。

 

けど、こんな時間に…

リビングからかすかに

話し声が聞こえてくる。

男女の声が混ざっている。

 

夫の声もする。