浮気

私の夫に手を出すな【23】

 

ケンジの言葉が途切れる度に、

私は静かに耳を傾けた。

驚き、悲しみ、困惑…様々な感情が

入り混じる中、

冷静さを保とうと努めた。

 

「もう全て終わりにした。

ミカも引っ越して…

本当に申し訳ない」

 

彼が深々と頭を下げる姿を見て、

私は何と言葉をかけるべきか、

慎重に考えた。

 

「ケンジ…

正直に話してくれてありがとう。

 

でも、あなたを信じるには

時間がかかるかもしれない…」

 

ケンジの表情に安堵の色が浮かぶ。

しかし、その奥に何か複雑な思いが

残っているように見えた。

 

「これからは2人で頑張ろう?

お互いに

正直でいることを約束しよ?ね?」

 

「ああ、約束するよ。絶対に…」

 

彼を抱きしめながら、私の心は

満足感で満たされていった。

 

ようやくケンジを取り戻せたという

安堵と、これからの関係を

より強固なものにできるという

期待が胸に広がった。

 

これは私たちの関係の新たな

始まりだと感じた。

 

その夜、私たちは

久しぶりに一緒に夕食を取った。

 

表面上は、夫婦関係は

修復されたように見えた。

しかし、ケンジの様子には

何か違和感があった。

 

食事の後、キッチンで皿を

洗いながら、私は今後の2人の関係に

ついて考えていた。

 

ケンジは私のもとに戻った。

計画は成功し、もはや

邪魔する人はいない。

これで私たちの関係は

新たな段階に入る。

 

ようやく望んでいた

2人だけの世界が始まる。