浮気

私の夫に手を出すな【21】

 

ミカの精神を追い詰め、

そしてケンジを苦しめる。

 

2人の関係にヒビを入れ、

最終的には崩壊させる。その光景を

想像するだけで、

私の心は狂おしいほどの

喜びに満ちあふれた。

 

数週間が過ぎ、ケンジの様子に

微妙な変化が現れ始めた。

 

夫の瞳には常に何かを

案じるような色が宿り、

時折遠くを見つめては

小さなため息をつくようになった。

 

私の細やかな観察?の結果、

ミカが突然引っ越しを

決めたことがわかった。

 

その事実を知った時、ケンジの

最近の様子の変化に納得がいった。

 

ある夜、ケンジが帰宅してきた時、

いつもと少し雰囲気が

違うように感じた。

 

肩の力が抜け、顔色もいつもより

悪いように見える。

 

「ケンジ、どうしたの?

最近、なんだか

元気がないように見えるけど…」

 

私は心配そうな表情を装いながら、

内心では夫の反応を

注意深く見ていた。

 

「ああ…い、いや。大丈夫だよ。

ただ仕事が少し忙しくて…」

 

夫の言葉に嘘が

混じっているのは明らか。

 

目を合わせない夫の仕草に、

ケンジの隠しきれない

動揺が見えた。

 

「そう?…でも、

無理しちゃだめだよ?」

 

優しく微笑みかけながら、

私は夫の反応を注意深く見つめた。

 

ミカの突然の引っ越し。

そのことが彼を苦しめているのは

明らかだった。

しかし、夫は私に何も言わない。

私はミカの引っ越し

を知っていながら、

知らないふりを続けた。