カレーだけでは物足りない。
もっと強烈な方法で、
ケンジを縛り付けなければ。
しばらく考えた後、
新たな計画が浮かんだ。
スマートフォンを手に取り、
意図的に不穏な検索履歴を
残すことにした。
その日、私はわざと
スマートフォンで「夫 永眠」
「夫 事故」「夫 失踪」と
いった言葉を検索し、
履歴を残した。
夕方、ケンジが帰宅する直前に、
私は再びそれらの言葉を検索し、
履歴を残したままにしておいた。
心臓が高鳴る。
この計画がうまくいけば、
ケンジの心にさらなる
不安の種を蒔けるはず。
ケンジが玄関に入る音が
聞こえると、さりげなく
スマートフォンをテーブルの上に
置き、台所へ向かった。
私
「お帰りなさい。
今日もカレーだよ。
もう少し待っててね」
声が上ずらないよう、
必死に落ち着きを装う。
リビングに入ったケンジの気配を
感じながら、
私は息を潜めて様子を窺った。
夫
「トウ子、スマホに
通知来てるみたいだよ?」
計画通り。胸の鼓動が早くなる。
私
「そう?ちょっと見てくれる?
私、今手が離せなくて」
ケンジがスマートフォンを
手に取る音が聞こえる。
夫
「な…なんだよ。これ…」
ケンジの声に混じる動揺を聞いて、
私の中で小さな
勝利感が湧き上がる。
ゆっくりとリビングに戻り、
できる限り無邪気な表情を装った。
私
「どうしたの?誰からだった?」
ケンジの顔が見る見る
青ざめていく様子を、
私は内心で冷ややかに見つめた。
恐怖と困惑が入り混じった
その表情こそ、
私が求めていたものだった。
これで、あなたは
さらに私のものになったね。