浮気

私の夫に手を出すな【14】

 

二週間が過ぎた頃、

ケンジの様子に変化が現れ始めた。

 

頬がやや痩せ、目の下に

うっすらと隈が見える。

いつもの元気さも少し影を

潜めているみたい。

 

この変化を見て、私の胸の中で

小さな喜びが膨らんでいく。

 

「あれ?顔色が悪いよ?

具合でも悪い?大丈夫?」

 

甘く毒のある声で問いかける。

ケンジは弱々しく答える。

 

「ああ…胃が…」

 

その言葉を遮るように、

私は冷たい笑みを浮かべる。

 

「心配しないで。

今日のカレーは特別。

胃に優しいスパイスを使ったの。

ほら、食べて?」

 

皿に盛られた黄金色のカレー。

その香りが部屋中に漂う。

 

ケンジの顔が

一瞬引きつるのを見逃さない。

これは始まりに過ぎないんだよ?

私の心は狂喜に満ちていた。

 

ねえケンジ、あなたは私のものよ。

ずっとずっと一緒。

たとえ何があっても、

私から逃げられないよ。

だって、

私たちは運命共同体なんだから。

 

夕食後、明日のカレーの準備を

しながら、私は新しいアイデアを

思いついた。

 

ルーをゆっくりかき混ぜつつ、

くすくす笑ってしまう。

 

ねえミカさん?あなたにも

私特製のおもてなしを

用意しないとね。

せっかく私たちの楽しい日常に

乱入してくれたんだもの。

あなたも一緒に

“幸せ”になりましょ♪

退屈な日々とはお別れだよ。

どんな顔するかな?楽しみ〜

 

鍋の中でトロトロに溶けた

スパイスを見ていたら、

なんだかワクワクしてきた。

 

このドキドキ感、クセになりそう。

ふふ、明日はどんな楽しいことが

起きるかな。想像するだけで、

目が冴えちゃいそう♪