浮気

私の夫に手を出すな【13】

 

「え?毎日?」

 

「ん?毎日よだ。私の愛情を、

体に染み込ませるんだー」

 

私は満足げにケンジを見つめた。

 

夫の顔には、明らかな

戸惑いの色が浮かんでいる。

また同じメニューかという諦めと、

私の様子を伺う警戒心が

混ざっているように見える。

 

日々が過ぎ、

ケンジは毎食カレーを食べ続けた。

一週間が経った頃、

夫は恐る恐る尋ねた。

 

「トウ子、そろそろ

カレー以外のものも…」

 

「え?なんで?だめよ。

これは私の愛だよ?あなたへの愛。

もちろん受け止めてくれるよね?」

 

私は優しく、そして冷たい目で

ケンジを見つめた。

 

夫は黙ってうなずいた。

 

その夜、ケンジが寝静まった後、

私は台所で次のカレーの準備を

しながら独り言を呟いた。

 

「明日も美味しいカレーを

食べてね、ケンジ。

濃厚なルーには私の愛情たっぷり。

スパイシーな刺激は、

あなたへの執着の印かな?

そして、隠し味は…ふふ、

私だけの秘密♪ あなたの全てを

知っているのは私だけ。

だから逃げられないよ。

明日も笑顔でいただきます、

って言ってね」

 

毎日カレーを食べ続ける

ケンジの様子を見ていると、

まるで私の愛情が少しずつ彼の中に

染み込んでいくようで、

なんだかゾクゾクする。

 

夫の表情は日に日に

暗くなっていくけど、

それも私への思いが

深まっている証拠。

 

最近は外出も減って、

私のそばにいる時間が

増えたみたい。

これって、私たちの絆が

強くなってるってことだよね♪