浮気

私の夫に手を出すな【8】

 

疑惑は日に日に大きくなり、

やがて確信へと変わっていった。

 

私は、その見覚えのない住所に

向かうことを決意した。

平日の昼下がり、ケンジが仕事中の

時間帯を選んで、

私はその場所へ足を運んだ。

 

そこは、閑静な住宅街の中にある

小奇麗なマンションだった。

 

私は慎重にマンションの表札を見

たが、そこにミカの名前は

見当たらなかった。

多くの部屋では

表札が出ていないようだった。

 

エントランスで様子を

うかがっていると、

ちょうど買い物帰りらしき

中年の女性が入ってきた。

 

「あの、すみません。

ミカさんの

お宅を探しているんですが…」

 

オバサン

「え?あぁ、ミカさん?

若い女の子よね。

きれいな子で、よくピンク色の服を

着てる子かしら?」

 

「そうです!よかったぁ!

友達なんですけど、

詳しい部屋番号を聞いてなくて…」

 

オバサン

「あら、そうなの?

確か5階だったと思うわ。

エレベーターを降りて右側よ」

 

「ありがとうございます。

ミカさんとは

お付き合いがあるんですか?」

 

おばさん

「いいえ、

顔を合わせる程度よ。

でもね、最近妙なのよ。

夜遅くに男の人と一緒に

帰ってくるのを見かけたわ。

若い子だから仕方ないのかしらね」

 

その瞬間、私の胸に激しい怒りと

嫉妬が込み上げてきた。

 

ピンク色の服。若い女性。

全てが繋がった。

 

それからというもの、

私は彼女の行動を監視し始めた。

 

毎日のように、

家事の合間を縫って

その場所へ向かい、

彼女の一挙手一投足を観察した。