浮気

私の夫に手を出すな【6】

 

私たちの関係を守るため、

ケンジを完全に取り戻すため、

邪魔者は全て

排除しなければならない。

 

ミカ、そして彼を奪おうとする

全ての女たち。

 

誰一人として、私とケンジの間に

入ることは許さない。

この思いが、私の中で

日に日に強くなっていった。

 

やがて、その思いは

冷たい決意へと変わっていった。

 

これは、私の愛と執着が生み出す

闘いの始まりだ。

誰にも、決して

私の大切なケンジは渡さない。

 

そう決意を固めた私だったが、

表面上は何事もないかのように

振る舞うことにした。

ケンジの様子を探るため、

いつものように話しかけてみる。

 

「最近、遅いよね?」

 

「ごめん。

新しいプロジェクトが始まってさ。

しばらく忙しくなりそうなんだ」

 

そう言って微笑むケンジに、

私は何も言えなかった。

 

ただ、胸の奥に小さな棘が

刺さったような気がした。

 

ある日の夜。ケンジは

珍しく早く帰ってきた。

疲れた様子で、シャワーを浴びると

すぐにベッドに横たわった。

 

私はケンジが寝息を立て始めるのを

確認すると、こっそりと彼の

スマートフォンを手に取った。

 

前回の偶然でパスワードが

結婚記念日だと知っていたので、

今回は躊躇なく

画面のロックを解除した。

 

ごめんね、ケンジ。

でも、これはあなたのため。

私たちの愛のためなんだよ?

 

そう心の中で呟きながら、

アプリを開いていく。