浮気

私の夫に手を出すな【2】

 

結婚して半年が過ぎた頃から、

ケンジの様子が

少しずつ変わり始めた。

 

帰宅時間が遅くなり、休日も仕事を

理由に外出することが増えた。

 

そして、夫のスマートフォンに

頻繁に届くメッセージ。

 

最初は気にしないように

していたが、ある日、

夫のスマートフォンの通知音が

鳴るのを聞いて、思わず画面を

チラッと見てしまった。

 

そこに映っていたのは、

女性の名前。

可愛らしいアイコンも一緒に。

 

その瞬間、私の胸に小さな棘が

刺さったような気がした。

それからというもの、

夫のスマートフォンが鳴るたびに、

私の目は自然とその画面に

向かってしまう。

 

そして、何度も女性の名前や

アイコンを目にすることになった。

 

最初は何でもないことだと

自分に言い聞かせていた。

ケンジの帰りが遅くなり始めたのは、

春の人事異動の頃からだった。

 

「最近、遅いね」

 

「ああ、新入社員の教育で

忙しくて。すまない」

 

夫の言葉を信じたかった。

 

でも、香水の匂いがほのかに

漂う夫のシャツを

 

「今日は飲み会があるから、

遅くなる」

 

「わかった。気をつけてね」

 

電話を切った後、私は落ち着かない

気持ちを抑えられなかった。

 

夜中の2時、まだ夫は帰ってこない。

我慢できずに夫に電話をかけたが、

つながらない。

 

翌朝、二日酔いの様子の夫に、

私は尋ねた。