結婚して半年が過ぎた頃から、
ケンジの様子が
少しずつ変わり始めた。
帰宅時間が遅くなり、休日も仕事を
理由に外出することが増えた。
そして、夫のスマートフォンに
頻繁に届くメッセージ。
最初は気にしないように
していたが、ある日、
夫のスマートフォンの通知音が
鳴るのを聞いて、思わず画面を
チラッと見てしまった。
そこに映っていたのは、
女性の名前。
可愛らしいアイコンも一緒に。
その瞬間、私の胸に小さな棘が
刺さったような気がした。
それからというもの、
夫のスマートフォンが鳴るたびに、
私の目は自然とその画面に
向かってしまう。
そして、何度も女性の名前や
アイコンを目にすることになった。
最初は何でもないことだと
自分に言い聞かせていた。
ケンジの帰りが遅くなり始めたのは、
春の人事異動の頃からだった。
私
「最近、遅いね」
夫
「ああ、新入社員の教育で
忙しくて。すまない」
夫の言葉を信じたかった。
でも、香水の匂いがほのかに
漂う夫のシャツを
夫
「今日は飲み会があるから、
遅くなる」
私
「わかった。気をつけてね」
電話を切った後、私は落ち着かない
気持ちを抑えられなかった。
夜中の2時、まだ夫は帰ってこない。
我慢できずに夫に電話をかけたが、
つながらない。
翌朝、二日酔いの様子の夫に、
私は尋ねた。