専業主婦を盾に経済力で
縛り付けようとしていた夫は、
私の就職を知って度肝を
抜かれていた。
唖然とする夫を尻目に、
またもや病室のノック。
以前の職場で仲の良かった、
上司を含めた
仕事仲間たちだった。
…つまりは
夫の会社の同僚でもある。
私は円満退職だったので、当時の
仲間たちとは今でも仲が良い。
その中で、
現在は夫の上司である女性が、
上司
「出産おめでとう」
と発言したのを皮切りに、
次々とお祝いの言葉が贈られた。
夫は内心
ヒヤヒヤしていたに違いない。
ふと上司が
マサトに気づいたようだ。
上司
「あら?このかたは、
どちらさまかしら?」
彼女は私に
男兄弟がいないことも知っている。
疑問に思っても無理はない。
私
「私の幼馴染のマサトです。
弁護士をしているので、色々と
相談に乗ってもらったんです」
と私はニッコリと答えた。
夫はぎくりとした様子で
また顔を青くした。
空気を察することに
長けている上司は、
状況を何となくつかんだようだ。