母「お父さん…!
ここは病院ですよ。
可愛い孫ちゃん達の前で、
乱暴な言葉はいけないわ」
と窘めつつ
母
「ユウヘイさん。
お父さんの怒りも尤もだと
私も思っているわ。
あなたが私達の大事な娘に
した仕打ち、とてもじゃないけど
許せない」
と静かに、ハッキリと言った。
父
「孫の養育環境だ!?
不実な父親がいるよりは
よっぽど我が家の方が整っている!
貴様は慰謝料と養育費の
心配だけしておけ!」
父の怒りは冷め止まない。
父はガンガンと強い口調で、
母は一見穏やかだがチクチクと、
夫を責め立てまくる。
夫はどんどん小さくなっていった。
夫
「も…申し訳…
ありませんでした…」
消え入りそうな声で謝罪するのが、
夫には精一杯だったようだ。
縮こまった夫へ般若のような顔を
向けていた両親はしかし、
初めての孫である双子の寝顔を
見て、とろけそうな笑みを
浮かべて病室を後にした。
両親と入れ替わりに
新たな見舞客が。
マサトだ。
マサト
「トウ子さん、
出産おめでとう。
双子ちゃんも、おめでとうね」
笑顔で入室したマサトは
私に元気よく、眠る双子には
優しく声を掛けてくれた。
仕事の途中で抜けたのか、
スーツを着ている。