モラハラ

いきなり態度が急変した夫。その理由とは…【4】

 

私は振り向いて相手を確認した。

最初は誰かわからなかったが、

どこかに幼い頃の面影があった。

 

「マサト…?」

 

マサトは私の幼馴染だったが、

中学2年生に上がる時に

転校してしまった。

 

まじめで成績優秀で、

正義感も強く、男女関係なく

弱いものいじめから

同級生を庇っていた。

 

マサト

「うん、そう。俺だよ!

久しぶりだな!」

 

マサトは屈託なさそうに笑った。

 

ああ、笑った顔は

子供の頃と同じなんだ。

 

マサト

「子供できたんだな」

 

「そうなの。双子だって」

 

マサト

「わあ!それは大変だ」

 

私達は思い出話と近況報告で

盛り上がった。

 

マサトは家庭の事情で引越した後、

自営業の仕事をするために

懐かしい故郷に帰って来たらしい。

 

話の途中、

マサトはふと真顔になった。

 

マサト

「トウ子さ、

何か思い詰めてない?

 

初めての赤ちゃんで気が

張っているのかもしれないけど、

周りに助けを求めていいんだよ?」

 

一瞬の間をおいて、私の目からは

大粒の涙が零れ落ちた。

どんどん、

どんどん、

もう止まらない。

 

号泣だった。

 

私は夫とのことを

マサトに洗いざらい喋った。

 

途中でつっかえたり、話が

前後したりでグチャグチャに

なったりしたけど、マサトは

黙って私の話を聞いてくれた。

 

それだけでも

私の心はとてもスッキリした。