夫
「扶養的財産分与?」
夫だけではなく私も、
そんな言葉が娘の口から
出てきたことに驚いた。
離婚によって夫婦の片方が
困窮する場合、経済的に
自立するまでの間、
もう片方が生活費の相当額を
負担すること、らしい。
私は専業主婦でアラフォー。
すぐに職を見つけることが
難しい反面、
夫は一流企業勤めで
高給取りだから
当てはまるとのことだ。
娘がわかりやすいように
説明していくと、
夫の顔が
みるみる青ざめていった。
シズク
「お母さんの状況を
考えると、生活費1年分は
いけるかも」
夫
「1年!?慰謝料と
養育費に加えて、だろ!?
いくら何でも無理だ。
もう一度
家族としてやり直そ…」
私・シズク
「「絶対に嫌!」」
夫
「くそ!その紙を返せ!」
夫が離婚届を取り返そうと
私たちに掴みかかろう
としたところで、
再び店のドアが開いた。
シズク
「あ!お祖父ちゃん、
お祖母ちゃん!」
入って来たのは
夫の両親だった。
家を出る前に娘が電話で簡単に
事情を話していたため、
駆けつけてくれたのだ。