浮気

娘の誕生日をすっぽかし家を出ていく夫…【7話】

 

「ああ、そうね。

寝室に戻らないと」

 

シズク

「ほら、つかまって」

 

中学生になって

大人の女性に限りなく近い

体格にまで成長した娘。

 

娘は私をベッドに寝かせると、

サイドチェストに

水を持ってきてくれた。

 

シズク

「酔い冷ましのお水、

置いておくね。

零さないように気を付けて。

 

お休み、お母さん」

 

「シズクありがとう。

お休み」

 

そこで再び

私の記憶は途切れた。

 

ハッと気が付くと、

太陽がいつもより高い。

 

そこに廊下をゆっくりと

忍び足で歩く音と、

玄関の扉を慎重に開ける音、

パタンとしまって

鍵がかかる音がした。

 

私はバッとベッドから

駆け下りると、夫だけではなく

娘の姿も

見えないことに気づいた。

 

さっきの物音は

娘のものに違いない。

 

私は咄嗟に玄関を飛び出して

娘の後を追いかけた。

 

既に姿は見えなかったけれど、

娘が身に付けている

スマートウォッチと

私のスマホを

連動させていたため、

位置の把握はできた。

 

大通りをかなりのスピードで

進んでいるようだ。

恐らく車だろう。

 

私は流しのタクシーを

捕まえて、

娘の後を追ってもらった。