浮気

娘の誕生日をすっぽかし家を出ていく夫…【4話】

 

シズク

「うん、友達のためなら

しょうがないよね。

 

その代わり、

プレゼントはちょっと高い物を

お願いしてもいい?」

 

「お、おう。

車とか、家とかそういう

レベルはカンベンしてくれ」

 

なるほど。

シズクは我が娘ながら

頭が良い。

 

夫の不在をプレゼントの

駆け引き材料にしてみせた。

 

「で、何が欲しいんだ?」

 

シズク

「スマートウォッチ。

明日から3日間、

このお店なら

セールで安いんだって」

 

スマホでちゃっかり

販売店の情報を見せる娘に、

私も夫も舌を巻いた。

 

「わかった、わかった。

希望の色や

モデルはあるのか?」

 

自分が言い出した手前、

娘のおねだりを

却下できなかった夫。

 

実はこの時既に

娘の術中に嵌っていたとは、

知る由もないのだった。

 

翌日、夫は娘との

約束通りに誕生日プレゼントを

買ってきた。

 

誕生日当日に

開封させてあげればいいのに!

と私は不満に思ったけれど、

娘が大喜びをしているので

黙っていた。

 

「シズク、設定は

お父さんがしてやろうか?」

 

シズク

「大丈夫、平気。

 

私が使うんだから、自分で設定

くらいできないとダメでしょ」

 

そう言ってシズクは

私のスマホと連携させ始めた。