シズク
「うん、友達のためなら
しょうがないよね。
その代わり、
プレゼントはちょっと高い物を
お願いしてもいい?」
夫
「お、おう。
車とか、家とかそういう
レベルはカンベンしてくれ」
なるほど。
シズクは我が娘ながら
頭が良い。
夫の不在をプレゼントの
駆け引き材料にしてみせた。
夫
「で、何が欲しいんだ?」
シズク
「スマートウォッチ。
明日から3日間、
このお店なら
セールで安いんだって」
スマホでちゃっかり
販売店の情報を見せる娘に、
私も夫も舌を巻いた。
夫
「わかった、わかった。
希望の色や
モデルはあるのか?」
自分が言い出した手前、
娘のおねだりを
却下できなかった夫。
実はこの時既に
娘の術中に嵌っていたとは、
知る由もないのだった。
翌日、夫は娘との
約束通りに誕生日プレゼントを
買ってきた。
誕生日当日に
開封させてあげればいいのに!
と私は不満に思ったけれど、
娘が大喜びをしているので
黙っていた。
夫
「シズク、設定は
お父さんがしてやろうか?」
シズク
「大丈夫、平気。
私が使うんだから、自分で設定
くらいできないとダメでしょ」
そう言ってシズクは
私のスマホと連携させ始めた。