だけど、再構築だけは無理だ。
そんな私の様子を窺っていた
村人たちが、
助け舟を出してくれた。
村人2
「義父さん義母さんの気持ちは
わかるけどさ、
自分の娘が嫁ぎ先で
こんなことをされたらどう思う?
戻って来いって
言うんじゃないかい?
うちならそうするねぇ」
村人3
「トウ子ちゃんはこれまで
家をずっと支えてきたんだろ?
もう十分じゃねぇの?
まだ若いんだし、都会で
お化粧して、うめぇモンでも
たらふく食べたら、
嫁入りしてきたばっかのころの
別嬪さんに戻るって。
そんで、トウ子ちゃんを
大事にしてくれるイイ男と、
息子を育てればいいんでねーか」
村の人が私の後押しをしてくれる。
欲しい言葉をくれる。
目頭が急に熱くなった。
そういえばオシャレな洋服って
結婚してから買ってないな。
最後にワンピースを着たのは、
ハイヒールを
履いたのはいつだろう?
化粧品と言えば化粧水と
日焼け止めくらい。
新作の口紅やアイシャドウに
心を弾ませていた時期なんて、
遠い昔のことのようだ。
別に冷遇されていたとは
今でも思っていない。
だけど、手が届かないと
諦めてしまっていた物は、事は、
思えばいくつも出てきた。
私に再婚を促す言葉が
出てきたせいか、
倒れていた夫が
むくりと起き上がり、
また謝って来た。