村人1
「今、泥棒って言ったか?」
村人2
「確かにそう聞こえたな」
村人3
「あれ、熊手もって
追いかけてんのは
トウ子さんでねーの。
泥棒退治に加勢しちゃるか」
村人1「んだ。うちの農作物も
やられたらかなわねぇ」
村人2
「待て~!待たんかーい!」
と、こんな感じで私の後ろに
オラが作物を守り隊の皆様が、
武器に見立てた農作業具を手に
次々に参戦。ひなびた村とはいえ、
それなりの
大所帯になってしまった。
私以外の声が聞こえることに
気づいて振り返った夫と浮気相手は
相当驚いたようだ。
鬼の形相の村人たちが、
鍬やら鋤やら鎌やらを手に
追いかけてくるのだから。
私
「待てー!」
村人たち
「「待てー!!」」
待てと言われて
待つ馬鹿はいない。確かにそうだ。
2人はそれまで以上に必死に走った。
すると、農道が交差するところで、
立ち止まってこちらを
凝視している女子高生がいた。
近所の子だ。
後で聞いた話だと、体調が優れずに
高校を早退したそうだ。
それでゆっくりと自転車を
引きながら歩いてきたのだとか。
女子高生は私達の先頭を走る夫と
浮気相手を目視し、あることに
気が付いたようだ。
そう、奴らは下半身を
モロに露出しているのだ。