浮気

夫が片付けをしている納屋に近づくと…【7】

 

村人1

「今、泥棒って言ったか?」

 

村人2

「確かにそう聞こえたな」

 

村人3

「あれ、熊手もって

追いかけてんのは

トウ子さんでねーの。

 

泥棒退治に加勢しちゃるか」

 

村人1「んだ。うちの農作物も

やられたらかなわねぇ」

 

村人2

「待て~!待たんかーい!」

 

と、こんな感じで私の後ろに

オラが作物を守り隊の皆様が、

武器に見立てた農作業具を手に

次々に参戦。ひなびた村とはいえ、

それなりの

大所帯になってしまった。

 

私以外の声が聞こえることに

気づいて振り返った夫と浮気相手は

相当驚いたようだ。

 

鬼の形相の村人たちが、

鍬やら鋤やら鎌やらを手に

追いかけてくるのだから。

 

「待てー!」

 

村人たち

「「待てー!!」」

 

待てと言われて

待つ馬鹿はいない。確かにそうだ。

 

2人はそれまで以上に必死に走った。

すると、農道が交差するところで、

立ち止まってこちらを

凝視している女子高生がいた。

近所の子だ。

 

後で聞いた話だと、体調が優れずに

高校を早退したそうだ。

それでゆっくりと自転車を

引きながら歩いてきたのだとか。

 

女子高生は私達の先頭を走る夫と

浮気相手を目視し、あることに

気が付いたようだ。

 

そう、奴らは下半身を

モロに露出しているのだ。