浮気

夫が片付けをしている納屋に近づくと…【4】

 

夫の浮気が発覚したのは、

全くの偶然だった。

 

その日は太陽がポカポカと

気持ちのいい日で、お昼のお弁当を

食べた私は思わず畑の土に

倒れ込んで

眠ってしまいたいくらいだった。

 

あ―眠い。

 

でも、午後の作業があるから

起きなきゃ。

そんな葛藤をしていると、

頬にピトッと

冷たいものが当てられた。

 

義弟

「義姉さん、目が

ひっくり返って白目に

なってるって。

 

ほい、冷たい缶コーヒー。

少しはシャキッとするかもよ?」

 

繁忙期に手伝いに来てくれた義弟の

差し入れだった。私はありがたく

受け取る。

 

義弟

「お袋は…またご近所と

井戸端会議か。

こんな田舎で、どれだけ

話題があるんだよw

 

親父は…あー、

完全に居眠りこいてるな」

 

義弟は呆れたように笑うと、

私にもうひとつ缶コーヒーを

投げてよこした。

 

それじゃ…と

コーヒーと甘いものの

差し入れでもしようと、

夫の元に向かう。

 

その日の夫は農協での

新規プロジェクトの

話し合いのあと、畑のそばに

ポツンと立っている

掘立小屋の整理をするはずだった。

 

その掘立小屋は畑仕事に使う道具を

使いやすいように

保管しておくために

建てられたそうだ。

 

そのため、家から離れた

畑のそばに立っている。

 

ただ、かなり老朽化して

しまっているので、義父は

最近取り壊しを決めたのだ。

 

取り壊すにしても小屋の中は

ある程度綺麗にしておかなくては

いけない。

 

だから夫がその整理整頓を

買って出たのだ。