上映会を始めると顔面蒼白になる

上映会を始めると顔面蒼白になる義両親 【3話】

 

上司

「異動?
 
何言ってんだ?お前!
 
お前まだ1年目だろ?

しかもうちの部署では
 
何の実績も
 
残してないじゃないか!!
 
こんなので希望が
 
通るわけないだろ!!」

 

と窘められてしまった。

確かに上司の言うことは

もっともだった。

営業部には本当は

他の部署で働きたいが、

会社からの辞令で

仕方なく営業部に

いる人達もたくさんいた。

そういう人達だって

本当は自分の希望の部署に

移動したいはずだ。

入社1年程度でしかも何の

実績もない私を優先的に

希望の部署へ

異動させてくれるわけが

なかった。

そんなわけで毎日神経を

すり減らしながら

過ごしていた時に

出会ったのが夫だった。

夫はたまたま私が

飛び込みで営業に

入ったとあるIT会社の

担当者だった。

年齢は私と二つしか

変わらなかったが、

当時からかなりきれ物と

いう感じでエリートの

匂いがプンプンしていた。

20代半ばにして、

既にある程度の裁量権を

持っているらしく、

私の話に耳を傾け

広告枠を買ってくれる

ことになったのだ。

 

ケンジ

「ちょうどうちも
 
これから業務を拡大する
 
予定で名前を売りたいと
 
思っていたんです。
 
こういうのは何かのご縁
 
ですから一つ
 
お付き合いさせて
 
いただきましょう」

 

夫はそう言って私の言葉に

耳を傾け契約してくれた。

それからは定期的に契約を

くれるようになり、

どんどん距離が

縮まっていった。