トオル
「母さんを
止めもしないで、
ずっと逃げていた。
離婚されても仕方がない」
夫は観念したようだ。
どう答えたらいいのか。
こんな話し合いの
真っ最中に、
チャイムが鳴った。
時刻は午後11時に
なろうとしている。
出てみると、玄関には
警察と義母が居た。
義母
「この女よ!
人○し!
息子に
毒を食わせたんだ!
捕まえてっ!!!」
鬼の形相で、
警官に訴えている。
そこへ、
タクトとトオルが
そろって顔を出した。
半狂乱だった義母は、
ぴたっと静まった。
タクト
「息子というのは、
僕と弟ですが。
毒なんか
食べていませんよ。」
トオル
「どちらかと
いうと、そちらの女性が
毒を盛ったんですけどね」
義兄でさえ口に
出さなかった事を、
するっと言い放つ夫。