もう一回、今度は
もっと長く、
夫を見つめた。
彼は、だんだん呼吸が
荒くなってきて、
やがて過呼吸の症状を
見せた。
義母は用済み。
電話を切った。
トオルを落ち着かせ、
様子を見ていたら、
彼は涙ぐんだ。
トオル
「トウ子…
今までごめん。
俺、母さんに
嫌われてるの…
分かってた。
けど、それを
認めたくなかった…」
タクト
「トウ子さん、
俺からも謝ります。
事情は、この間
お話した通りです。」
義母も、嫁いびりの
被害者だった。
義家族の残り物ばかり
食べさせられる日々…
トオルを産んでも
姑に取り上げられて、
育てられなかったという…
タクトで
精一杯だろうから。と
私が代わって
育ててあげると言われ、
名づけも勝手にされた。
だから、兄弟なのに
名前の雰囲気が
違うのだ…と。