私はサアヤの手を取り、
颯爽と会議室を後にした。
背後では、上司の怒鳴り声と、
ヒヨリの泣き声が聞こえる。
会社を出て、
外の空気を深く吸い込んだ。
サアヤ
「キヌ子…大丈夫?」
私
「うん、それがさ(笑)
驚くほど大丈夫。
むしろ…すっきりした感じ」
サアヤ
「そっか(笑)お疲れ様。
本当に強いね、キヌ子」
あの日から1週間が経った。
私は弁護士のタケダさんと
打ち合わせをしていた。
タケダ
「キヌ子さん、
証拠は十分ですね。
これなら
相当有利に進められます」
その頃、ジュンヤはというと…
会社では左遷が決まり、
給料も大幅カット。
社内での信用も地に落ちた。
ヒヨリの方は、
契約社員だったこともあり、
即刻解雇。
二人とも、社会的な
信用を失っていった。
ある日、ジュンヤから
連絡が来た。
ジュンヤ
「話がしたい。
頼む…最後に一度だけ」
結局、
喫茶店で会うことにした。
ジュンヤ
「本当に申し訳ない。
俺は…最低の男だった。
でも、もう一度
やり直させてくれないか?
俺、本当にお前のこと愛し…」
私
「あなたが
反省してるかどうかなんて、
私にはもうどうでもいいの」
私
「私はもう、
前を向いて歩き始めた。
あなたのことは、過去の人よ」
ジュンヤ
「そんな…
俺たちは夫婦だろ?」
私
「”だった”だよね。
もう終わったでしょ?」
ジュンヤ
「…っ!あ、それとさ
慰謝料のことなんだけど…
あの金額は流石に…」
私
「高いと思う?
でも、私の人生を
台無しにした代償としては
安いものでしょ?
じゃあ、会うのは
これで終わりにしましょう。
さようなら」