次の日、私は
弁護士事務所に向かった。
タケダ弁護士は、
サアヤの紹介で
知り合った敏腕弁護士だ。
タケダ
「キヌ子さん、証拠は
十分ですね。これなら、
離婚調停でかなり
有利に進められます」
私
「よかったです。
少し安心しました。
でも、離婚後の
諸々の手続きとか
今後の生活のこととか、
気になることが
たくさんあって…」
タケダ
「ご心配は
よくわかります。
ただ、これまでに集めた
証拠を見る限り、キヌ子さんの
立場は非常に強いですよ。」
私
「そうなんですね?」
タケダ
「はい。特に
不貞行為の証拠が
はっきりしていますから、
キヌ子さんに有利な条件を
引き出せるはずです。
しっかりと
サポートさせていただきます。」
私「わかりました。
お任せします。」
タケダ弁護士との
打ち合わせを終えて、
家に帰る道すがら、
ふと立ち止まった。
デパートの大きなガラス窓に
映る自分の姿が、
何だか他人のように見えた。
髪型も、メイクも、服装も、
少しずつ変わってきている。
外見だけじゃない。
内面も、確実に強く
なってきているのを感じる。
家に帰ると、リビングで
くつろいでいる
ジュンヤの姿があった。
ジュンヤ
「おかえり。
今日はどこに行ってたの?」
私
「え? ああ、ちょっとね。
用事があって」
ジュンヤ
「そう…?最近、
キヌ子どこか
変わった気がするんだけど…
気のせいかな」
私
「そう?
私は変わってないと思うけど。
ねえジュンヤ、
私のこと…愛してる?」
ジュンヤ
「…え?
いきなりどうしたの?
…っ俺たち夫婦なんだから
当たり前じゃん」