ジュンヤが風呂に
入っている間、こっそりと
彼のスマホをチェックする。
新しいメッセージはないか、
不自然な履歴はないか…
証拠集めは、細心の注意を
払わなきゃいけない。
翌日、探偵から連絡が入った。
探偵
「新しい情報が
入りました。ご主人と
例の女性の密会現場を
押さえることができました」
探偵
「バッチリ撮れています。
ホテルに入る所から
出てくるところまで、
時系列で押さえてあります」
電話を切った後、
しばらく呆然としていた。
頭では
分かっていたはずなのに、
現実を突きつけられると、
やっぱり胸が締め付けられる。
でも、これで終わりじゃない。
ここからが本番。
証拠は揃った。
あとは、どうやって
使うか…だよね。
その日の夜、ジュンヤが
帰ってきた時、私はいつも
以上に愛想良く出迎えた。
私
「おかえりなさい!
今日はご馳走作ったんだよ」
ジュンヤ
「確かに。
いい匂いだな。
あれ?
今日は、何かの記念日?」
私
「ううん、特には?
たまにはこういうのも
いいかなって思って」
ジュンヤ
「そっか。
ありがとう。
キヌ子のおかげで、
俺は、毎日が幸せだよ」
…ふん、よく言うわ。
私の心の中で、
怒りの炎が燃え盛る。で
も、表情は崩さない。
むしろ、より
愛おしそうな目で見つめ返す。
私
「私も幸せだよ。あなたと
結婚できて本当に良かった」
この偽りの愛の告白に、
ジュンヤは少し
困ったような顔をした。
良心の呵責?
どうでもいいけど。
もうすぐ、
全てが終わるんだから。